腫瘍グループ
毎週木曜日 午後
悪性骨腫瘍(骨肉腫、ユーイング肉腫など)、悪性軟部腫瘍(悪性線維性組織球腫など)、良性骨軟部腫瘍
- 悪性骨腫瘍
- 悪性軟部腫瘍
悪性骨腫瘍(骨肉腫、ユーイング肉腫など)
概要
骨組織や筋肉・神経・血管・脂肪などの軟部組織に発生する腫瘍を骨・軟部腫瘍と言いますが、発生頻度が低い割には腫瘍の種類が非常に多岐に渡るため、整形外科の中では、専門的な知識が必要な特殊な領域となります。特に、骨や軟部から発生する悪性腫瘍は肉腫と呼ばれ、内臓や皮膚から発生する癌腫とは区別されます。肉腫の発生頻度は非常に低いため、非専門施設において診断に長時間を要したり、また適切な治療方針が広く熟知されていないために不適切な初期診療がなされたりするケースが、現在においても見られるのが現状です。
悪性骨腫瘍骨としては、骨肉腫やユーイング肉腫などが有名で、若年者の発生が癌腫に比べて多いことも特徴です。その他、整形外科で扱う悪性骨腫瘍には、線維肉腫、骨悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫などがあります。これらの腫瘍は画像診断である程度の見当をつけた後、確定診断のために組織の一部を採取し、顕微鏡で詳細に検討する病理組織検査が必要となります。組織の種類に応じて、手術療法、化学療法、放射線療法、またはその一部を組み合わせて治療方針を決定します。
治療
手術療法
およそ30年前までは、四肢の悪性骨腫瘍に対しては切断術が標準治療でした。しかし現在では手術手技の確立と共に患肢温存手術が主流となっており、当グループでも可能な限り患肢温存を目指した手術療法を行うようにしています。悪性軟部腫瘍でも同様で、可能な限りの患肢温存を目指します。そのためには、実績のある腫瘍用の人工関節を用いたり、形成外科と協力して血管柄付き骨移植や皮弁形成などによる再建術を用いたり、状況によっては特殊な固定機械を用いたりしながら、確実な腫瘍切除とより高い患肢機能の温存・回復を目的として、患者様一人一人の状態に合わせた柔軟性の高い手術方法を検討しています。また、病状の進行が早くやむを得ず切断を施した患者様に対しても、理学療法士・義肢装具士と協力して、適切な義肢作成とリハビリテーションを行い、早期の社会復帰を目指します。
化学療法
悪性骨腫瘍のうち、骨肉腫やユーイング肉腫など、抗癌剤を用いた化学療法による治療効果が確立しているものに対しては、化学療法と手術療法を併用して高い治療成績を挙げています。また骨悪性線維性組織球腫やほとんどの悪性軟部腫瘍など、化学療法の効果に議論の余地があるものに対しては、患者様の状況を詳細に検討し患者様と相談を重ねた上で、適応を慎重に決定しています。基本的に化学療法は、手術療法の治療成績を向上させるための補助療法であり、全身療法として原発巣だけでなく転移巣を狙った治療として位置づけています。小児の患者様の場合は、小児科で化学療法を行っています。
放射線療法
整形外科領域で扱う悪性腫瘍は、一般的に放射線感受性が低いため、治療の第一選択となることはあまりありません。患肢温存のために切除範囲が不十分になりそうな場合や、手術後の切除材料の検討で切除範囲が不十分であった場合に、補助的に放射線療法を用いて、患肢温存に努めることがあります。