脚延長グループ
毎週水曜日 午前
四肢変形、骨折後の変形治癒、骨端線損傷後の変形、四肢長不等(脚長差)、軟骨無形成症、先天性脛骨偽関節症
- 四肢変形、四肢長不等(脚長差)
四肢変形、四肢長不等(脚長差)
先天性疾患、感染症、外傷などにより四肢変形や四肢長(脚長)に左右差が生じますと、外観上の問題だけでなく、機能障害を起こし、腰痛や、歩行障害等を生じることがあります。さらに、将来的に近傍の関節に変形性関節症性変化を引き起こす可能性が高いため、変形の矯正を行う必要があります。小児期(成長期)に生じた四肢の変形や脚長差は、成長とともに増大していくことがあります。このような場合は変形や脚長差を生じている病態の把握と最終的な変形や脚長差の予測を行った上で治療方針の決定が必要になります。
病態
四肢変形や四肢長不等(脚長差)を生じる疾患の多くは次のものがあります。
(1)先天性疾患:大腿骨、下腿骨の弯曲、形成不全、欠損による疾患群があります。それぞれの下肢に異常を認めず左右差のみが問題になる片側肥大症、片側萎縮症があります。
(2)外傷:骨折初期治療後に骨癒合したものの変形が残存したもの、癒合不全によって次第に変形を生じる場合があります。小児期(成長期)の外傷により骨端線が損傷し、成長とともに変形や脚長差が増大する例がみられます。
(3)感染症:骨髄炎による変形治癒や骨癒合不全、骨端線損傷により変形が生じます。
他にもの種々の疾患で変形や脚長差を生じますが、原疾患の予後、病態の把握が重要です。
検査について
変形の程度や脚長差の精確な把握が必要です。X線画像により骨長や変形を測定しますが、肢位やX線照射角による誤差が生じるため、CT検査による計測を行うことがあります。経時的に計測することにより変形や脚長差の予測を行うことができます。
治療方針
軽度の脚長差の場合は補高により矯正可能ですが、変形や脚長差が大きく、日常生活上支障が出てくる場合には手術が必要になります。
手術療法
創外固定器を用いた変形矯正/骨延長
手術により創外固定器を装着し、骨切りを行うと骨切り部に仮骨が形成されます。創外固定器を操作して骨切り部を広げる仮骨延長法により骨を伸ばします。仮骨の延長方向を自在に操る事により3次元的な変形を矯正する事も可能です。
創外固定器はロシアで開発されたリング型のイリザロフ創外固定器や本学で開発し単支柱型のHi-Fixator創外固定器やユニバーサル・バー・リンク式創外固定器を用います。
なお、これらの全身麻酔を必要とする治療が必要な場合には、関連する医療施設と協力して行う場合があります。
術後(後療法)について
骨を伸ばす延長/変形矯正の期間と仮骨が成熟するまでの期間は創外固定器を装着したままの生活になります。その間ピン周囲の感染や関節の可動域低下が起こり得ます。そのために消毒の指導や杖歩行や関節可動域訓練(リハビリテーション)が必要になりますが、日常生活はできるだけ自力で行うように指導しています。通院可能なレベルにまで運動能力が回復したら退院となります。仮骨が十分に成熟したら創外固定の除去を行います。ギプスや装具の装着が必要な場合もあります。